熊本県では、くまもと林業大学校などで林業技術を教える「指導者」を育成する研修を実施しています。
今年度は、林業現場で講師経験のある県内の林業就業者の皆様を対象にして次の5部構成で研修を実施しました。
①課題検討会及び安全研修(令和6年6月26日(水))
・課題検討会
くまもと林業大学校で講師を務めている方々に集まっていただき、「課題の共有・検討」を目的とした意見交換を行いました。
講師それぞれが普段考えている課題を共有することができ、とても充実した検討会になりました。
・安全研修
林業技術の指導をする際は、まず「安全に対する意識」を教える必要があります。
そこでこの研修では、株式会社森林環境リアライズの石山さんを講師に迎え、林業労働災害の現状や、どうすれば労働災害を未然に防ぐことができるのかを学びました。
また、VR機器を用いた伐倒事故体験も行われ、研修生は最先端の研修を受講することができました。
↑ VR機器を用いた伐倒事故体験の様子
②伐木指導研修(令和6年7月4日(木)~)
昨年度、【指導者育成課程】を受講し、県内の様々な研修で講師を務められている林業従事者の方を講師に迎え、「新規林業就業者に伐倒技術を指導するために必要な知識と技術を学ぶ研修」を実施しました。
「自分が上手く伐倒する」のではなく「他人に上手く伐倒させる」。
そのためには、自分の技術を磨く必要があるのはもちろん、「伝え方」も重要です。
2日間という短い時間でしたが、研修生全員の技術の上達が目に見えてわかる研修になりました。
③実践研修(10月29日~)
「指導力」を高めるには、実際の指導の場で経験を積むのが一番です。
そこで、緑の雇用の研修の現場に研修生が「講師のサポーター」として入り、指導の実践研修を行いました。
指導に苦戦している様子が見られましたが、将来につながる経験をしてもらうことができました。
④機械研修(10月23日(水)~24日(木))
林業の仕事は「チェーンソー伐倒」だけではありません。「高性能林業機械」と呼ばれる機械を使う場面も多々あり、くまもと林業大学校でも「林業機械」の授業は多く設けています。
そこで、今年度から「林業機械の指導」に係る研修を始めました。
水俣市を拠点に林業をしている「(有)大川林業」を講師にお招きし、「新規林業就業者に"林業機械の操作技術"を指導するために必要な知識と技術を学ぶ研修」を実施したのです。
すでに自社で「林業機械の指導」を行っている研修生には実演してもらいましたが、その方法は様々。
「どのような方法がベストなのか」を研修生全員で議論し、学びました。
⑤指導力養成研修(令和6年11月29日)
・「コミュニケーション術」研修
オフィス コミュニケーション・プラスの藤井さんを講師に迎え、「指導におけるコミュニケーション術」を学びました。
「伝え方」のほか、「アンガーマネジメント」や「叱り方」についても学ぶことができ、とても実用的な研修でした。
・伐倒指導技術平準化検討会
研修参加者全員で「伐倒指導現場を撮影した映像」を見ながら、「指導技術の平準化」を目的とした意見交換を行いました。
また、研修のまとめとして、「機械運転研修のカリキュラムを考える」というテーマでグループワークを行いました。
約半年の研修を受講してきたからこその意見が飛び交い、平準化に向けた大きな一歩を踏み出す研修となりました。